会計・経理 税金ほか

法人が外貨預金を所有している場合の注意点

円安ドル高となっていますね。

 

本日は法人で外貨預金(円以外の米ドルなどの外国通貨で預けている預金)を持っている場合、特に為替相場が大きく変動している場合に注意しないといけない点について確認してみたいと思います。

 

法人が外貨預金を保有しているときに注意すべきことは、決算時の円換算です。

原則として、次のいずれかの方法により円換算を行うことになります。

  • 発生時換算法
    取得時または発生時の為替相場で換算する方法
  • 期末時換算法
    期末時の為替相場で換算する方法

一定の期間内に届出をすることで、外貨の種類ごとに選定することができますが、届出の提出を行わなかった場合は、法定換算方法となります。

 

法定の換算方法は次の区分のとおりです。

  • 短期 期末時換算法
  • 長期 発生時換算法

※「短期」とは決済日が当期末の翌日から1年を経過した日の前日までに到来するもの

 

 

ただ、為替相場の著しい変動があった場合は、例外として事業年度末日に外貨建取引を行ったものとみなして円換算を行うことができます。

ちなみに著しい変動とは、次の算式により計算した割合がおおむね15%に相当する割合以上となるものがあるときをいいます。

(A ー B) ÷ A

A:期末時の為替相場により換算した外貨預金の円換算額
B:期末時の外貨預金の帳簿価額

 

この場合、外国通貨の種類を同じくする外貨建試算等につき上記の算式により計算した割合がおおむね15%に相当する割合以上となるものが2つ以上ある場合には、その一部についてのみ適用することはできません。

例外が適用できる割合となっている場合(特に発生時換算法を選定しているとき)は、所得にどのように影響するか確認したほうがよいでしょう。

 


【編集後記】
昨日はとあるミーティング。
当日が楽しみです。

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  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、44歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日毎日更新中。

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