会計・経理

未償却残高とは何か

「減価」も「償却」も、業界以外の方の場合、どちらも馴染みがない言葉だと思います。
本日は、減価償却の仕組みの中で出てくる「未償却残高」について書いてみようと思います。

 

減価償却とは

「減価償却」とは、時間の経過によってその価値が減っていく、という考え方に基づき計算されるそのモノの価値の目減り分です。

長く使えるものは、一度に経費にするのではなく、その期間に応じて、分割して経費にしていくことになります(費用配分といいます)。

業務に使用していて、かつ時間の経過とともに資産価値が減少する固定資産が減価償却の対象となります。原則、使用可能期間が1年以上、取得価額が10万円以上の固定資産が対象です。

 

未償却残高とは

減価償却の仕組みの中で、未償却残高という言葉がありますが、これは、文字通り「まだ償却していない残高」です。

未償却残高=取得価額ー減価償却累計額(取得時からの減価償却費の合計)

 

以前は取得価額の5%が未償却残高の下限でしたが、今は未償却残高が1円になるまで償却することができます。

 

未償却残高の計算(電卓)

減価償却の方法には、一般的に定額法と定率法が多く利用されます(それ以外にもいくつかあります)。

定額法というのは、年数で分割する方法で、1年間の減価償却費は同額になります(月割り、備忘価額1円となる年は除く)。

定率法というのは、償却する割合を一定にする方法です。
取得した当初の減価償却費が1番大きく、毎年一定の割合で減価償却費が小さくなるように計算する方法です。

1年目
取得価額×償却率=減価償却費

2年目
未償却残高(取得価額-1年目の減価償却費)×償却率



と、未償却残高に償却率を乗じて計算していきます。

それぞれ、専用のソフトやExcelなどを使うことで簡単に計算することもできますが、何らかの事情で電卓で計算しなければならない場合(あまりないかもしれませんが)、定額法であれば、割り算と掛け算の組み合わせで計算し易いと思いますが、定率法の場合、そのまま順番通り計算していくとややこしく感じます。

定率法の場合の○年後の未償却残高を電卓で計算する方法をご案内します。
私はカシオ製の電卓を使用しているので、カシオバージョンです(メーカーにより操作が異なります)。

取得価額 100万円
耐用年数 8年(償却率 0.250)

の資産の3年後の未償却残高を計算したい場合

1-0.25= → 0.75

××(かけるを2回)

1000000

===(イコールを3回)

421,875

 

で計算することができます。

端数処理の関係で、下1桁・2桁あたりが多少ずれることもありますが、電卓でぱっと計算するシチュエーションであれば、ざっくりでも問題ないことが多いと思います。

その資産の耐用年数と償却率をわかっているというのが前提になりますが、、

あまり電卓で計算することはないかもしれませんが、機会があればお試しいただければと思います。

 

 


■編集後記
とある会へ初参加。
今後が楽しみです。

今日の長崎市は涼しい1日でした。
天気がよかったら、駐車場の清掃(ケルヒャー)をしようと思っていたのですが、少し寒いぐらいの時間帯もあったので、日を改めることにします。

 

税金ほか

個人事業主の所得補償保険に係る税務について

  所得補償保険とは、病気やケガによって就業不能となったときの所得減少に備える保険です。 個人事業主については、公的保障が少ないため、働けない期間、収入が減るリスクはお勤めの方と比較して高いといえます。   支払う保険料について 事業主が自己を被保険者とする保険料については、事業のための経費ではないため、支払った保険料は必要経費とはなりません(生命保険料控除の対象)。   受け取る保険金等について 保険金については、「身体の傷害に起因して支払を受けるもの」に該当するので非課税 ...

ReadMore

税金ほか

代表取締役等の住所非表示措置について

  代表取締役等住所非表示措置がという制度が2024年10月1日から施行されています。 代表者を特定するための情報として重要であること等の理由から、代表取締役の住所が登記されています。一方で、登記簿は誰でも取得可能であることから、プライバシー保護の問題等から一定の制限が必要ではないかという検討がなされていました。 制度の概要等について確認してみたいと思います。     非表示措置の対象となる住所 申出と併せて申請されることになる登記によって記録される住所(既に登記されている住 ...

ReadMore

税金ほか

同居老親等の同居の範囲(扶養控除)

  本日は所得控除の同居老親等について確認してみます。     所得控除 所得税の計算において、政策的な考慮等によって、一定の金額を課税対象となる金額から控除できる手順が設けられています。 所得控除と呼ばれるものです。 現行の所得税制においては、15種類の所得控除があります。 大きく分けると、人的控除と呼ばれるものとその他の所得控除があります。 人的控除については、基礎的なもの(基礎控除など)と追加的なもの(障害者控除など)がありますが、基本的な考え方としては、納税者が行った ...

ReadMore

ライフ 長崎

2025 長崎ランタンフェスティバルに行ってきました

  今年も「長崎ランタンフェスティバル」に家族で行ってきましたよ。 自分1人ならおそらく行かないであろう天候(雪、寒い)でしたが、娘たちの「行きたい!」には応えたいという思いがあるので、決行いたしました。 ちなみに去年は雨。。     前情報のとおり、人出はかなり少ないものでした。   印象としては、例年の半分以下といった感じでしょうか。 あまり人混みが得意ではないので、個人的にはありがたかったです。 動きやすいし。       とは言 ...

ReadMore

税金ほか

退職所得の確定申告

    退職金が支給される場合に、受け取った人が支払者(勤務先)に対して「退職所得の受給に関する申告書」という書類を提出します。   この申告書を提出することによって、退職所得の額と所得税額が計算され、源泉徴収されることになっています。   実務的には、勤務先から各種書類の提出にあわせて、一連の流れの中で提出を求められることと思います。   前述のとおり、この申告書を提出した場合、勤務先が所得税等を計算しその退職手当等の支払いの際に、その退職所得の金額に応 ...

ReadMore

税金ほか

修正申告で消費税を追加納付する場合の計上時期について

  消費税の課税事業者である場合、消費税の会計処理は税抜き方式と税込み方式があります。   税込みで処理している場合、売上げや仕入れに係る消費税額を売上や仕入の金額に含めて計上します。   申告時に消費税額を確定させることになりますが、そのタイミングは決算日以降となるため、当然納付も翌期となります。   この消費税等を計上する時期ですが、当該決算にて未払い計上するのか、申告書を提出した日(納付した日)に経費に計上するのかお尋ねいただくこともあります。   ...

ReadMore

税金ほか

相続で引き継いだ減価償却資産の取り扱いについて

  相続によって減価償却資産を引き継いだ場合の取り扱いについて確認したいと思います。   減価償却資産とは 「減価償却」とは、時間の経過によってその価値が減っていく、という考え方に基づき計算されるそのモノの価値の目減り分です。 長く使えるものは、一度に経費にするのではなく、その期間に応じて、分割して経費にしていくことになります(費用配分といいます)。 業務に使用していて、かつ時間の経過とともに資産価値が減少する固定資産を減価償却資産といいます。   相続で引き継いだ減価償却資 ...

ReadMore

税金ほか

借家人が受ける立退料の取り扱いについて

    事業所や住居を借りている個人が、その事業所等を明け渡して立退料を受け取った場合には、受け取った立退料の性格から区分され、それぞれの区分によって各種所得の収入金額となります。   所得区分については以下のとおり。 借家権の消滅部分 家屋の明け渡しによって消滅する権利の対価の額に相当する部分は、総合課税の譲渡所得の収入金額となります。  休業補償部分 立ち退きに伴って、その家屋で行っていた事業の休業等による収入・経費を補填する金額は、事業所得の収入金額となります ...

ReadMore

  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

-会計・経理