税理士試験 通信制大学院

税理士になるルートは複数、かける時間とお金のバランスについて

私はいわゆる大学院ルートで税理士資格を取得しました。
そういえば、6年前の3月3日は大学院の合格発表日でした。

私が受験したのは通信制の東亜大学大学院ですが、今年は試験も合格発表も2月中だったようですね。とある方から教えていただき知りました。
年によって日程は異なるのでしょうが、この時期の受験は税理士事務所に勤めている方だとなかなかハードですね。
受験された方はお疲れさまでした。

大学院受験を検討されていた方とお話する機会がありましたので、そのときに考えたことなど少し書いてみます。

 

 

税理士資格取得までのルート

税理士資格を取得するためのルートは主に4つです(細分化すると他にもあります)。

税理士試験(5科目)
大学院+税理士試験(3科目)
国税OB(+税理士試験)
弁護士や公認会計士

私が個人的に考えている「王道」は、やはり税理士試験5科目合格ではないでしょうか。

税理士試験の試験科目は、全部で11科目あります。
その中から、必須のもの、選択必須、選択科目あわせて5科目合格することが必要です。
会計2科目(簿記論、財務諸表論)は必須で、所得税法及び法人税法はどちらか1つの合格が必須となります。
会計2科目は、税理士試験の登竜門と捉えられることが多いので、なんとなく簡単だと思われがちですが、そんなことはないです(と感じています)。
私は簿記論で苦しんだタイプです(簿記は好きなんですけどね、、)。

個人的には、簡単な科目など1つも存在しないと感じているので、それを5個クリアした方は、単純にすごいと憧れてしまいますね。
私も受験を始めた当初は、そのルートを歩んでいくつもりでおりましたが、諸々検討した結果、ルートを変更することにしました。

 

どのルートがいいかは人による

前述の後半2つは、付随的なものであることが多いと思いますので、税理士試験を目指してのルート選択で迷うのは、税理士試験5科目と大学院ルートでしょう。
よく話題になるのもこの2つのルートに関することだと思います。

ときどき、大学院ルートに対してネガティブな意見を見聞きしますが、税理士資格取得で大学院を選択するのは逃げではありません。
別の記事でも書きましたが、どちらかというと私にとっては「攻め」でした。

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税理士になるのが目的なので、どのルートを選んだっていいと思いますが、ルートが複数あるからこそ迷います。
結局のところ、どのルートがいいかは人によるでしょう。
働きながらか、専念かでも違いますし、仕事の状況や置かれている環境でも違います。
働きながら5科目合格している人もいますし、専念で大学院ルートを選ぶ人もいます。

 

時間とお金のバランス

試験自体を長く楽しみたいという方を除いては、いち早く税理士資格を取得することを目指すはずです。
なので、自分がかけられる「時間」と「お金」のバランスで考えることになろうかと思います。

ときには、置かれている環境自体を見直す必要があることもあるかもしれませんが、自分にとって最適だと考えるバランスでやるしかないと感じます。

私は選択できませんでしたが、個人的な見解として一番攻めてるなーと感じるのは、「専念して5科目受験」ですかね。
収入なしで生活費の負担まで賄う覚悟は私にはありませんでした。
十分な貯蓄があれば、選択肢としてはありだと思いますが、それも私にはありませんので。。

家族もいるので収入は維持したい、でも勉強時間の確保は難しい、できて1年1科目、取りこぼしがあると長期化必至、などなど検討した結果、多少?出費が増えますが大学院ルートを選択した次第です。

まあ結局は、自分が選んだルート、選択が正しいと思ってやり抜くしかないのです。

どの道一定の時間はかかる試験ですので。

記事にしておいてなんですが、他の人からの意見は参考程度にとどめて、自分にとって納得感のある選択をすれば良いのだと思います。

税理士になってからのルート選びが、より重要なのかもしれないと感じています。

 

 


■編集後記
昨日は午後から面談1件。
起床時間の見直しを実施し、今のところ継続中です。
税理士試験の受験生時代には及びませんが、とりあえず4時台。
まだペースを掴めておりませんが、ちょっとずつ慣らしていきます。

 

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  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

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