税金ほか

代償分割 生命保険金から支払う際の注意点

 

代償分割とは、遺産の分割に当たって共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が他の共同相続人などに対して債務を負担するもので現物分割が困難な場合に行われる方法をいいます。

 

この場合の課税価格の計算は次のとおりです。

  1. 代償財産を交付した人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額から交付した代償財産の価額を控除した金額
  2. 代償財産の交付を受けた人の課税価格は、相続または遺贈により取得した現物の財産の価額と交付を受けた代償財産の価額の合計額

 

 

代償金の準備のために生命保険金が活用されることがあります。

 

生命保険金は本来の相続財産ではなく、受取人の固有財産となり遺産分割の対象とならないので、代償金として活用することができるのですが、ケースによっては贈与税等の課税関係が生じることもあるので注意が必要です。

 

代償分割は前述のとおり、現物分割が困難な場合に行われる調整で、清算行為の一環となるものですから、代償金が取得した財産の額を超える場合、贈与税の問題が出てしまいます。

 

また、代償分割は現物の財産を取得している前提で行われるものですので、例えば、生命保険金のみ受け取っているという場合には、その受け取った保険金から代償金を支払ったとしても、取得財産の代償とはなりません(本来の相続財産ではないので)。

 

なので、生命保険金を活用した代償分割で贈与税がかからないための要件としては、

  • 代償金を支払う人が相続財産を取得していること
  • 支給する代償金の額が取得した相続財産の額を超えないこと

いずれも満たしている必要があります。

 

加えて、生命保険については、契約の仕方や保険料の負担の違いによって、受け取る保険金の課税関係が異なりますので、併せてご留意いただければと思います。

 

 

 


■編集後記
昨日は外出予定なし。
夜は家族で近くの回転寿司へ。
美味しくいただきました。
単価が上がってきていることと、娘たちの食べる量が増えているので、支払う金額が大幅に増えそうなところですが、反比例して親2人の食べる量が減っているので、微増で留まっています。
食べ始める前は、どんだけでも食べれる!と気合い十分なわけですが、すぐお腹いっぱいになります。。

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  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

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