税金ほか

事業所得と一時所得の損益通算

 

 

一時所得とは

現行の所得税制では、所得の区分を10種類に分類しています。

一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、山林所得、譲渡所得までの8種類の所得以外の所得で、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務や役務の対価としての性質を有しないもの、と定義されています。

ここで言う「一時の所得」というのは、一般的に言う「一時的な」というものではありません。

一般的に「一時的」というと、暫定的とか、永久的ではないというような意味合いで使われることが多いと思いますが、所得税法において「一時の」というのは、「1回きりの」という意味で、次にあるかどうかわからない偶発的なものであるいう用語です。

国税庁のホームページには、懸賞や福引きの賞金品などが例示されています。

実務的に多いのは保険の満期返戻金等でしょうか。

 

 

事業所得と一時所得の損益通算

損益通算とは

損益通算とは、各種所得金額の計算上生じた損失のうち一定のものについてのみ、一定の順序で、総所得金額、退職所得金額または山林所得金額等を計算する際に他の各種所得の金額から控除することです。

損失が生じた場合に、損益通算の対象となるのは次の所得です。

  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 譲渡所得
  • 山林所得

ちなみに、不・事・山・譲(富士山上)と覚えたりします。

例えば、事業所得と一時所得の2つの所得があり、事業所得がマイナスの場合は、損益通算することができますが、その逆(一時所得がマイナス、事業所得プラス)はできないということになります(他の一時所得とは通算可)。

一時所得の計算方法

一時所得は、総収入額から収入を得るために支出した金額、特別控除額(最高50万円)を差し引いた金額となります。

一時所得の金額 = 総収入金額 ー 収入を得るために支出した金額 ー 特別控除額

そして、総所得金額に合算されるのは、上記所得を1/2した金額となります。

課税所得 = 一時所得の金額 × 1/2

少し難しいのは、どの時点で損益通算すればいいかですが、この場合、50万円特別控除後で、1/2する前の金額と通算します。

 

これに他の所得があったり、繰越控除などあると、またややこしくなりますが、まずは損益通算には対象となる所得があり、その順番があるということをおさえていただければと思います。

 

 


■編集後記
昨日は私用以外の外出予定なし。
山は越えておりますが、確定申告を一定のペースで粛々と進めております。

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  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、45歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から日々更新中。

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