税理士

税理士による職務上請求手続きについて

職務上請求とは、弁護士等の一定の国家資格を有する人が、その受任した業務を遂行するために必要な範囲で、住民票・戸籍謄本等を請求することができる制度です。

委任状も必要ありません。

税理士の場合、税理士業務(税務代理・税務書類の作成・税務相談)を遂行するに当たり必要である場合にとなるわけですが、一般的には相続関連の業務で添付が必要な場合、ということになるかと思います。

 

 

職務上請求で取得できるもの

職務上請求で取得できる範囲は次の通り。

  • 戸籍関係(戸籍謄抄本、除籍謄抄本、原戸籍謄抄本)
  • 住民票の写し、除票の写し、戸籍の附票の写し
  • 住民票記載事項証明書

繰り返しになりますが、取得が可能となるのは「業務で必要となる場合」のみです。

同じ請求先であっても、職務上請求書の記載事項が異なるので、戸籍謄本等と住民票の写し等を同時に取得することはできません。

戸籍に関する請求、住民票に関する請求、それぞれに「職務上請求書」が必要になります。

 

請求手続き

まず、職務上請求書の用紙を取得することになりますが、それについてはこちらの記事を確認いただければと思います。

職務上請求書の用紙交付の手続き等について

必要性があり、はじめて使用してみました。 まずやることは、用紙の請求です。     職務上請求とは 職務上請求とは、弁護士等の一定の国家資格を有する人が、その受任した業務を遂行する ...

続きを見る

 

必要事項を記載し、自治体に請求します。

会員ページに記載例が用意されているので、そちらを参考に記載すればよろしいかと。

請求する自治体のホームページに、第三者による請求に関する内容か、自治体によっては職務上請求に関する内容が掲載されているので、そちらを確認することになります。

どこもほぼ同じ内容だと思いますが。

長崎市のホームページを確認してみると、職務上請求に限ったページはなく、広く「第三者による請求方法」についてのみ掲載されています。

 

概ね必要となるものは以下の通りですね。

  • 窓口での請求の場合
    職務上請求書
    税理士証票
    手数料
  • 郵送での請求の場合
    職務上請求
    税理士証票の写し
    手数料(定額小為替か現金書留)
    返信用封筒(切手貼付)

請求者の本人確認及び権限確認を行うために、書類を提示等する必要がありますが、税理士本人の場合は、税理士証票だけで大丈夫です。

 

職務上請求書等の管理

職務上請求書を複製すること、交付された職務上請求書以外の用紙を作成・使用すること、他社に譲渡・貸与することや、虚偽記載、目的外使用など、基本的な禁止事項の他、職務上請求書等については厳重な管理が義務付けられています。

  • 複写式の控えの保存
  • 事務所管理台帳に使用状況を記載し併せて保存

事務所管理台帳は、職務上請求書と一緒に送付されます(会員ページでもダウンロード可)。
ちなみに、複写式の請求書控えをもって事務所管理台帳の記載に替えることはできません。
控えと管理台帳での二重チェックできる体制が必要ということですね。

また、未使用の職務上請求書を亡失した場合、「職務上請求書等の亡失等報告書」を所属の税理士会へ届け出る必要があります。届出のあった職務上請求書の番号を日税連のホームページで公表し、不正使用を防ぐ措置が講じられるようです。

紛失した請求書で悪用されたら大変ですからね。

 

 

以前の記事でも書きましたが、基本的にはご本人に取得していただいたり、委任状による取得が主になりますし、不動産が絡む場合は司法書士の方で取得されていることも多いので、利用シーンは限定的だと感じていますが、何らかの事情で必要性がある場合やお客様が入手することに大きな負担がある、難しいといったときには、職務上請求での入手が手っ取り早いこともあるかもしれませんね。

 

 

 


■編集後記
昨日は各種届出書の作成、電子送信など。
普段食べる機会はあまりないですが、たまに食べるケーキはうまいです。
ペロッと食べちゃいますね。

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  • この記事を書いた人

平川吉輝

税理士、AFP
1979年8月13日生、46歳。
長崎県長崎市在住。
2021年2月1日から 日毎日更新中。

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